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いじめや児童虐待など、悲しい出来事が続く社会の現実。誰もが人権を尊重されて生きられるようにするために、いま何が求められているのでしょうか。  国連で「世界人権宣言」が採択されて65周年の節目となる今年、京都府では、人と人がつながり支え合うことの大切さを歌った「世界がひとつの家族のように」を制作しました。発起人の山田啓二京都府知事と、作曲家の千住明さん、作詞家の鮎川めぐみさんに、この歌に込めた思いについて話し合っていただきました。
※このページは5月26日に京都府が京都新聞に掲載した内容をHP用に加工しています。

 

広め隊

 ●つながり支え合う考え方で京都をつくる
【司会】知事の人権に対する考え方、人権啓発イメージソングの制作を依頼されたきっかけを教えてください。
【知事】人権が大切ということを繰り返し言っても、いじめや児童虐待など悲しい出来事が続いています。これまで、京都府の計画づくりでは、「人権を大切に」ということと、「つながり支え合う社会をつくる」ということを並列にしてきましたが、「明日の京都」(注)を策定するときに、そこに違和感を感じました。経済が発展し生活が豊かになる一方で、行き過ぎた個人主義の結果、「隣は何をする人ぞ」的な砂漠化した社会になってきたんじゃないか。そうではなく、本当に人権を大切にするためにこそ支え合う社会をつくることが重要だと考えました。東日本大震災で絆の大切さが見直されたように、人と人とがつながり支え合うことこそ今の社会に一番求められていることだと思います。絆があるからこそ社会が成り立ち、そこに人権に対する心も生まれてくるんだと思います。
 みんなが家族のように大切、そういった想いを込めたイメージソングを作っていただき、それを合言葉にこれからの京都づくりができれば素敵だと思います。
(注)明日の京都…だれもがしあわせを実感できる希望の京都をめざして、平成23年1月に策定した京都府の行政運営の指針

 ●京都がリーダーとなり日本中、世界中に発信
【司会】そんな山田知事のリクエストを、どのように受け止められて、おふたりは曲に生かされたのですか?
【鮎川】知事がおっしゃった、「つながり支え合う」社会への扉。それを開いていくため、少しずつでも気持ちの持ち方が変わり、ささやくように平和を願う想いを浸透させていくことができれば、という願いを込めて歌詞を書きました。言葉もとてもやさしく、単純に作ってあります。
【千住】大震災の被災地で「心の復興」が求められているいま、日本文化の中心である京都がリーダーとなって、“みんながファミリー”という考え方で支え合うことを、メロディーを奏でる形で提案していく。これは大変意義があると思うんです。被災地をはじめ日本中、世界中の人に、つながり合う考え方を発信することができます。だから、今回の曲では、地球上のすべての人に歌ってもらえる共通の言語のようなものを探して作り上げました。その答えはここだったと思えるものができて、実にいま爽快な気分です。
【知事】「みんなで仲良くなろうね、支え合おうね」ということがしみ込んでくるようで、温かい気持ちに包まれる素敵な歌ですね。言葉の力、歌の力を信じられる曲に仕上げていただきました。

 ●歌い広げる人とのつながり
【司会】この曲をできるだけ多くの方に歌ってもらいたいですね。
【知事】せっかく良い曲を仕上げていただいたのだから、大事に育て、広げていくのが私の役割だと思っています。この曲を知ってもらうために、若者たちのPR隊を作ったり、ともに歌える機会もたくさん設けて、少しずつでもみんなの気持ちを変えていこう、力を合わせていこうじゃないかという流れを作っていきたいと思います。地域を支えていく施策とこの歌が、常に折り重なって聴こえてくるような、そんな施策を行っていきたいですね。
【千住】できるだけ多くの人たちに歌ってもらえるよう、いろんなアレンジをしようと思っています。特に、みんなで呼吸を合わせ、気持ちを一つにすることができる合唱を大切にしたいです。混声合唱や子どもたちの合唱にも書き下ろしたいですね。もちろんソロで歌うことも可能です。この曲は、これから皆さんと一緒に育てていきたいと思うんです。僕は京都が大好きで、年に何回も来るのですが、その度に少しずつ進歩して、進化させていければいいなと思っています。
【鮎川】子どもから大人まで、あらゆる年代の人たちに歌っていただける曲になってほしいなという気持ちです。どうぞよろしくお願いします。
鼎談
右から、山田 啓二京都府知事、千住 明さん、鮎川 めぐみさん